この種の本に文体を求めるのは筋違いとは思いつつも、悪文といわざるをえない。「〜た。」でおわる短い文章の連続。加えて時間軸がはっきりせず、
読み通すのに非常に労力を必要とする。編集者の責任も重い。
とはいえ、手軽に入手できる同種の本は無く、貴重な一冊といえよう。
イラク戦争後の今、本書を読む意義は高い。
ベトナム戦争は全貌を把握しにくい。広く「インドシナ戦争」と捉えるといつ戦争が始まったのか、いつ終わったのか分からないからである。ベトナムは植民地時代にフランスと戦い、大戦ではホー・チ・ミン率いる解放勢力が「進駐」してきた日本軍と戦い、戦後戻ってきたフランスを追っ払うと、あのアメリカ軍がやってきた。また歴史的に中国の圧力があり、また戦線は常にラオス、カンボジアなどの周辺諸国に波及した。それに加えて、ベトナム内部の各勢力の対立がある。北の共産主義政権と南の資本主義政権の対立はいうに及ばず、共産勢力でもハノイを中心とする北ベトナムと南のメコン・デルタ地域を中心に活動するゲリラ勢力の主導権争いが常に存在した。結局サイゴン陥落とともにハノイの政権が全ベトナ???を支配することになった…。
このようにベトナム戦争自体錯綜としたものであるので、本書自体も構成が錯綜しているが、それをこの本の欠点と捉えるべきではないだろう。読み通すのに忍耐を要するが、事実関係を丹念に追った記述は貴重というべきである。