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人間の集団について―ベトナムから考える

人間の集団について―ベトナムから考える

人気ランキング : 31,362位
定価 : ¥ 740
販売元 : 中央公論社
発売日 : 1996-09

価格 商品名
¥ 740 人間の集団について―ベトナムから考える
人間の集団について

 本書解説にあるように、「第一級の思想書」であると思う。司馬さんは二十歳のころから、ベトナムに行きたかったそうだ。がちょうどその時、兵隊にとられてしまって行けなかったそうだ。だから何十年か経って、ベトナムの空港についた時には本当に感動されたらしい。司馬さんのなかでは、日本・韓国・ベトナムは限りなく近いものがあるらしい。
 旅日記的な要素も多分に含んでいる。しかし、それ以上に多面的にベトナムを見ている。ベトナムを通して、思想している。
 また、司馬さんがアジアのことを語るのは珍しくはないが、このように一冊丸々で。というのは割と珍しい。
 中身とは関係ないが、本書内に簡単でいいから、ベトナムの地図がついていればなお良かった。ベトナム戦争から三十年経っているので、ベトナムの地理がぴんと来ない。

過激な本です

 司馬遼太郎氏が生前、現在の政治問題について語ることはほとんどなかった。遺作「この国のかたち」の話題の多くは執筆当時の時事問題を背景にしていたようですが、それでも文章上では直接触れず、歴史の中から類例を取り出してきて見せる、というスタイルを貫かれたように思われます。
 そんな司馬氏が現代政治について、しかもベトナム戦争について同時代史的に語っていたのが本書です。冒頭から、「大国はたしかによくない。しかしそれ以上によくないのは、こういう環境に自分を追いこんでしまったベトナム人自身であるということを世界中の人類が、人類の名においてかれらに鞭を打たなければどう仕様もない。」と言ってのけます。ベトナム戦争に対する当時の一般的な空気を考えると、この発言はも!や蛮勇といってもよいものでしょう。温和そのものの風貌に反し、実はカンの強いところがあったという氏の横顔が所々に垣間見えます。
 無論、これはただの政論でもありません。街角の風景や食事から始まって、いつのまにか文明論にまで発展していく、いつもながらの機知も健在です。

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